日本人は騙されやすい?

 選挙は、落ちればただの人。私は政治家の息子ですから、自分だけが当選するために何でもする人々を見てきました。

 SNSがない時代でも、フェイクニュースはありました。私が育った京都には、前尾繁三郎という大物首相候補がいました。この選挙が終われば、次は首相になるという大事な選挙で、投票日前日、前尾後援会のメンバーに次々電話がはいります。

 当時は中選挙区で、電話は同じ自民党の谷垣専一(谷垣禎一の父親)陣営からでした。「前尾先生は絶対大丈夫なので、谷垣に入れてください」というお願い攻勢です。いかにも党の決定であるかのような電話でしたので、効果があったのでしょう。ふたを開けてみれば前尾氏はまさかの落選です。1979年ですから、もう50年近く前のことですが、大きな事件であったことは確かです。つまりSNSがあろうとなかろうと、選挙に勝つためには、候補者やその関係者は嘘をつくと思ったほうがいいのです。

 大事なことは、自分の一票で、税金の使途が決まるという自覚です。そのためにはSNSの真偽を、正式な機関のHPで調べるなど、努力が必要であり、不勉強のまま投票すると、結局自分が損をすることになります。

 ただしSNSのリテラシーについても、23年12月に読売新聞と国際大・山口真一准教授が行った共同調査によれば、情報に接した際、「1次ソース(情報源)を調べる」と回答した人が米国では73%、韓国では57%、日本では41%でした。日本人やアメリカ人や韓国人と比べ、フェイクに騙されやすいと言えるのかも知れません。

 性善説に基づくいい国だった日本は、徐々に過去のものになろうとしています。それは残念なことですが、人を見たら疑う、SNSの情報は簡単には信じない――それを選挙での大事な心得にしてほしいと思います。