戦況をなかなか好転できないロシア
ロシアのウクライナ侵攻以前、ロシアの軍事力は米軍と同レベルか、あるいは近づきつつある、一部では米軍を超えるという見方もあった。
だが、この4年間のウクライナ戦争の実態から、それは幻想であったようだ。
空挺・ヘリボーン作戦は、戦争で最も重大な局面で実施される。その成否がその後の戦争遂行にきわめて重要な役割を果たす。
もしも、ロシアの侵攻当初のキーウ近郊への空挺・ヘリボーン作戦が成功していれば、キーウは陥落していた可能性がある。
一方、米軍のベネズエラ奇襲作戦がもし失敗していれば、米国のドナルド・トランプ大統領は世界中から強い批判を受け、大統領の尊厳は失墜していたかもしれない。
このような最重要場面での作戦を実行するためには、最大の軍事技術を用い、最高レベルの軍事作戦を立案しなければならない。
今回、米国とロシアの作戦を比較し、軍事技術や軍事作戦能力の差がかなりはっきりしたと思う。
その差は、米国の情報と兵器を使うウクライナとロシアとの関係にも当てはまるはずだ。すでに4年を超えたウクライナ戦争でロシアが戦況を好転させたければ、この差を縮める必要がある。
時代遅れになったロシアの戦い方
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ戦争実行の決断にあたって、軍事パレードに登場する兵器、パレードの威容を見て、「素晴らしい軍隊だ。旧ソ連時代の軍隊が復活し、米軍と比肩する軍隊だ」と自信を持ったに違いない。
しかし、米軍とロシア軍の戦闘能力の差、つまり、戦ってみなければ分からない目には見えない部分の兵器の性能、宇宙空間を使った情報戦、電波妨害や敵情解明に力を発揮する電子戦、新たな兵器を生かす将軍たちの作戦・戦術能力等は理解が不十分だった可能性がある。
両国の空中機動作戦を分析してみて分かるのは、侵攻当初のロシアの空中機動作戦は半世紀も前の戦法のようであり、米軍のベネズエラ奇襲作戦は近代兵器が遺憾なくその能力を発揮した「2026年最新の戦法」だったことだ。
プーチン大統領は、自国軍の能力を完全に見誤って戦争を開始したのではないか。
米欧の兵器と情報を十分ではないにせよ供与されていたウクライナ軍についても見くびっていた可能性がある。
ロシアは、力と量で攻めまくれば短期間でウクライナを占領でき、たとえ短期間では難しくても消耗戦でウクライナは音を上げると思っていたのだろう。
その考えをおそらく今も持ち続けているに違いない。しかし、ベネズエラでの米軍の作戦は、その考えが時代遅れであることを証明してしまった。プーチン大統領はそのことを認識し、一刻も早く戦争をやめるべきである。
米空軍の早期警戒管制機E-3(冒頭の写真は胴体の上についた円盤の部分、米空軍のサイトより)


