空中機動、降着、戦力増強中に反撃部隊撃破

(1)反撃部隊撃破の必要性

 空中機動、降着および第2・第3波による戦力増強まで、あるいは目的達成(例えば拘束・連行)までは、常に敵地上部隊、防空兵器、航空攻撃などの反撃を受ける可能性がある。

 反撃できないように事前に破壊する必要があるが、生き残っている部隊や兵器への対応も準備しておく必要がある。

 これに対しては、ステルス戦闘機を保有していれば、空中機動部隊の要求に応じて、迅速に対地攻撃やミサイル攻撃を実施することができる。

 敵の反撃に対して、航空攻撃などの攻撃ができなければ、地上部隊との提携までは、空中機動部隊は孤立して戦わなければならない。

(2)ロシアのウクライナ反撃部隊への攻撃

 空港に降着したロシアの空中機動部隊は、輸送機による増援も実施できず、数日以内にウクライナ軍の攻撃により壊滅的被害を被ってしまった。

 ロシアは、輸送機による増援を阻止する防空兵器を破壊できず、空港に降着した部隊に対して反撃する予備の機動部隊や砲兵部隊を、航空攻撃やミサイル攻撃で破壊することができなかったのだ。

 ロシア軍のキーウ近郊への空中機動作戦が、戦争の天王山であったことを考えれば、ロシアは保有数が少ないステルス戦闘機も全機投入し、作戦部隊を近接航空支援すべきであった。

 だが、ロシアはステルス機を投入しなかった。その理由は、運用上の制約・リスク判断など複数の要因が考えられるが、ステルス性能が期待するほどではなかった可能性もある。

 他方、作戦部隊を電子戦で支援するという計画もあったはずだ。

 本来であれば空中機動部隊と地上部隊が提携する計画だったと思うが、地上から参戦していたロシアの電波妨害機は、侵攻初期にウクライナ軍に破壊された。

 破壊されなかった妨害機はウクライナ領土に置き去りにされ、ロシア兵は自国へ撤退してしまった。

 このため、ロシアの電波妨害機は、ウクライナ軍の指揮機能を妨害し、ロシアの空中機動作戦を支援することはなかった。

 近代戦においては、電子戦で情報収集し敵の指揮機能を停止させるために、電波妨害、それも特定の兵器に絞って妨害することは必須である。

 だが、ロシアはできなかった。最大の失敗である。

(3)ベネズエラ奇襲作戦中に反撃受けなかった米軍

 米軍特殊部隊がベネズエラ大統領を拘束する作戦の間、大統領警護隊による抵抗はあったものの、地上軍機動部隊を投入した米軍ヘリを防空兵器が撃墜したという情報はない。

 もし、ベネズエラ軍による反撃が行われたとしても、ステルス戦闘機がリアルタイムでベネズエラ軍の正確な動きを得ていたことから、反撃部隊を容易に撃破できたことであろう。

 また、米軍が「EA-18Gグラウラー」電波妨害機を使って、地上部隊の指揮統制、防空兵器レーダーを妨害したことにより、ベネズエラ側は、身動きが取れなかったと考えられる。

 米国は作戦を実行する際に、偵察衛星情報や電子戦情報で、そしてリアルタイムに提供できる情報提供システムを使って、ベネズエラの事前に反撃する部隊、反撃の可能性があるすべての部隊を情報収集と分析で確認し、破壊していたようだ。

 さらに米国は、ベネズエラの反撃部隊を殲滅するか、残存部隊があっても攻撃できないような電波妨害を行った。

 残存部隊へ指揮命令を届けさせないように、またレーダーなどの電子機器が機能しないように妨害していたと考えられる。