作戦の成否は情報・保全次第
ロシアがウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を暗殺する計画について、ウクライナはかなり警戒していたとみられている。
実際、ウクライナの大統領府顧問は侵攻から2週間で12回以上の暗殺未遂があったと発表している。
また、「我々は非常に強力なインテリジェンスと防諜ネットワークを持っている」「ロシアの情報機関の連邦保安局内にも内通者がいて、その情報で未然に防ぐことができた」とも語っている。
ロシアは、ウクライナ侵攻と同時にキーウに潜入し、ウクライナの大統領を暗殺するか、拉致して連れ去ろうとした可能性がある。
しかし、ロシア軍の空中機動作戦の失敗もあり、未遂に終わったのではなかろうか。
一方、米軍はベネズエラの大統領を拘束しようとした特殊部隊に負傷者は出たものの、短時間に大統領を拘束し、米国本土まで移送してしまった。ほぼ完璧と言える成功である。
私は、米国のサイバー専門家、通信情報収集機関からの情報、工作員の情報、特に大統領周辺の最新情報が役に立ったのではないかと考えている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、2022年7月にロシアの工作にかかわったということで、ウクライナの検事総長と情報機関の保安局長官を解任した。
その理由は、両氏が管轄する機関の職員60人以上が、侵攻するロシア軍の作戦に協力した疑いがあったからだという。また、それまでに国家反逆の疑いで、650件を超える数の捜査が進められていると説明した。
ウクライナ国内には、ロシアの大量の工作員が潜入していたようだ。しかし、侵攻前後にはその存在の多くが解明されて拘束されたとみられる。
戦争においては、潜入工作員に関する情報収集と工作員に情報を与えない保全の重要性がよく分かる例である。
非正規戦による事前潜入と工作が思うようにいかなかったのも、ロシアの空中機動作戦が成功しなかった一因なのだろう。