日本の「保守」と「右翼」の違いは?
マライ:世界的に右傾化が進むなか、日本でも保守勢力に注目しています。そもそも日本の保守とは何か、「保守」と「右翼」は違うのでしょうか。
古谷:歴史を遡ると、「右翼」という言葉は18世紀のフランス革命に由来します。国王を廃して共和制にしようとした勢力が「左翼」、国王や貴族の体制を守ろうとした勢力が「右翼」と言い始めたのが始まりです。
一方で「保守」という考え方はイギリスで生まれました。エドマンド・バークという思想家がフランス革命を見て、社会を変えるのはいいが、急激に全部壊して作り直すのは危険だと指摘し、伝統や歴史を尊重しながらゆっくり変えるべきだという態度が「保守」の考え方です。
つまり、右翼は「革命に反対する立場」、保守は「急進的な変化を警戒する考え方」という違いがあります。
自民党候補者の遊説に駆けつけた高市早苗首相(写真:つのだよしお/アフロ)
マライ:では日本の「保守」や「右翼」の始まりは?
古谷:日本では明治維新が1868年に起きました。天皇を中心にした新しい国を作るという建前でしたが、実際の政治は江戸幕府を倒した薩摩と長州の出身者が中心になって進められました。
そのため、「天皇の名を借りて薩摩や長州が勝手なことをしている」という批判が起こります。そうした流れの中で、西郷隆盛らが象徴的な存在となり、これが日本の右翼の源流となりました。
その後も、議会や憲法などが作られていきますが、伊藤博文など特定の藩の出身者の政治に対して、天皇のもとではみんな平等のはずだという「一君万民」という考え方がますます右翼の思想の土台になっていきました。
しかし、第二次世界大戦に負けたことで、天皇中心主義を強く打ち出す右翼の思想は説得力を失います。戦後、右翼の一部は過激な街宣活動などを行うようになり、怖い存在というイメージを持たれるようになりました。
一方で、過激な行動はせず、天皇や皇室、日本の歴史や伝統を尊重する立場を守っていこうというのが「保守」と呼ばれるようになります。過激なのが「右翼」、少し上品なのが「保守」と、濃淡の違いです。