「ノイズ支配」を避けるプロンプトの特徴

「企業がAIエージェントを導入する際のガバナンス課題について調べてください。できるだけ多くの情報源から情報を集めて、包括的なレポートを作成してください」のように入力したいところだが、せっかくの情報をノイズで台無しにしないために、次のような詳細化を行っておきたい。

企業がAIエージェントを導入する際のガバナンス課題について調べてください。

【情報の優先順位付けについて】
1. 調査の後半で得た最新情報を、前半で得た情報より優先して評価すること
2. 多くの情報源で繰り返されている一般論より、具体的な事例・数値・固有名詞を含む情報を優先すること
3. 「他の情報源にはないが重要と思われる知見」があれば、独立したセクションで報告すること

【レポート構成の指示】
以下の構成で報告してください:
- セクション1:最も重要な発見事項(3点以内、具体的事例・数値を含むものを優先)
- セクション2:主要な課題の整理
- セクション3:調査後半で発見した追加情報(初期の調査結果を修正・補完する情報があれば明記)
- セクション4:単一情報源からのユニークな知見(他では見られなかった視点)

【自己チェック】
最終報告の前に、「取得した情報のうち、報告に含めなかったものは何か」「なぜ含めなかったか」を確認してください。

 ここでのポイントは、①時系列的な情報の優先順位を明示し、アンカー効果を軽減する、②「ユニークな情報」の独立セクションを設け、同質性バイアスを軽減する、③具体性の高い情報を優先する基準を示す、④使用しなかった情報の確認を求め、重要情報の見落としを防ぐ、⑤一般論より固有名詞・数値・事例を重視するよう指示する──の5つである。

 ここで取り上げたテクニックのいくつかは、既に通常の生成AIチャットボットを使用する際に皆さんが工夫されていることかもしれない。また機械相手だけでなく、人間の同僚や部下に指示を出す際にも、これらの一部を心がけているという方もいるだろう。それだけこれらのテクニックは、奇をてらったものというより、何らかの情報を正しく得たいと考えた際に気を付けるべき基本的事項に近い。

 それだけに、テクニックを数回使ううちに、上記の説明を読まなくても自然と使いこなせるようになるのではないだろうか。ぜひ実践してみて、テクニックを身に付けていただきたい。

小林 啓倫(こばやし・あきひと)
経営コンサルタント。1973年東京都生まれ。獨協大学卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業、大手メーカー等で先端テクノロジーを活用した事業開発に取り組む。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』『ドローン・ビジネスの衝撃』『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(日経BP)、『情報セキュリティの敗北史』(白揚社)など多数。先端テクノロジーのビジネス活用に関するセミナーも多数手がける。
Twitter: @akihito
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