金が上昇してきた「5つの理由」

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は1月22日の記事「金が5000ドルに迫る5つの理由」の中で「ディベースメント・トレードという戦略は、政府がインフレ抑制や債務削減に失敗することで、世界の金融システムを支える通貨の価値が損なわれるという不安によって動かされている」と指摘した。

 WSJが挙げた5つの理由は

①ディベースメント・トレード
②(米政策金利と長期金利の)金利の低下
③中央銀行の購入
④割高な株価
⑤(金価格上昇の)モメンタム

である。

 昨年後半には金だけでなく、銀やプラチナ、パラジウムといった貴金属全般がディベースメント・トレードの受け皿や上昇トレンドを追う投機の対象になった。

 金市場の関係者に言わせれば通貨価値、とりわけ基軸通貨ドルの地盤沈下に備える行動は昔からあった金投資の大きな意味である。それでも膨大な金融資産を持つ投資家が「ディベースメント・トレード」を意識して動き出せば貴金属市場へのインパクトは桁違いなものになる。国内のSNS投稿を見ても普段は株やFXに力を入れる投資家が金や銀の相場動向を盛んに語るようになった。

 金の国際機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の集計で現物の金を裏付けにした上場投資信託(ETF)の残高は25年に801トン増え、増加量としては新型コロナウイルス禍が深刻になった20年の892.5トンに次ぐ規模になった。

 20年に比べると国際相場は年平均で2倍になっており、資金流入額で見ると25年は886億ドル(約13兆8000億円)と20年を79%上回った。

 このように金に投資マネーが群がってきた反動もあり今回の急落となったわけだが、このまま金相場は下落基調に転じるかというと、そう単純なものではなさそうだ。