記者団の取材に応じる日本維新の会の吉村洋文代表=1月15日、大阪府庁(写真:共同通信社)
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 昨年暮れ、「日本維新の会」の地方議員たちによる「国民健康保険料の支払い逃れ」と思われる事例が発覚したとき、本当に腹が立ちました。大学での教え子たちの顔が頭に浮かんできたのです。私は文藝春秋を退職後、地方の大学で教鞭をとるようになりましたが、そこで初めて、平成3年から学生であっても20歳になれば国民年金の支払い義務が発生することを知りました。私の時代にはなかった制度だからです。

 2025年の場合、月額1万7510円。2年間は支払うので、総額42万円にもなります。お金持ちの親がいれば、代わりに負担してくれますが、地方大学に通う学生にはそんなに裕福な家庭の子は多くありません。そのため多くの学生は、納付が猶予される「学生納付特例制度」を申請・利用しています。

 しかし学生は、せっかく大企業に内定しても、奨学金の返済に加え、猶予されていた国民年金保険料の追納までするとなれば(しなくてもよいが、その分、将来の年金額は少なくなる)、相当な負担になります。初任給から、この金額を捻出し、そして高い家賃を考えると、せっかく都会の大企業に内定したとしても、諦めて地方に残ったり、上京せず、大会社の地方採用コースを選んだりする学生も大勢いるのです。

 国の未来を担う若者たちに、こんなに負担をさせながら、選良と呼ばれている議員たちが、健康保険料を少額しか支払っていないのは、果たして許される行為なのでしょうか?

制度の穴を突いた“脱法的”行為

 一体、どんな仕組みで「国保逃れ」がなされているのか。元国会議員、公認会計士などに仕組みを聞くと、報道だけでは分からない事実も見えてきました。

 まず重大な問題は、地方議員、国会議員ともに、確定申告の結果が可視化されていないということです。

 サラリーマンは年末調整をすれば、別収入がないかぎり確定申告はしなくていいのですが、政治家は講演や原稿料などで副収入もあれば、資産公開をみても株式や不動産収入がある議員の方が多いので、当然確定申告が必要になります。ところが、もちろん義務化はされていますが可視化はされていません。税務署が調べないかぎり、実態は分からないのです。

 その隙をついたのが、この「国保逃れ」という“脱法的”行為でしょう。

 実は、国会議員は原則として「国家公務員共済組合」(KKR)に加入し一般公務員と同様、歳費とボーナスをあわせた金額に一般公務員と同じ比率で健康保険料と年金保険料が決まり、天引きされて、残りの歳費が支払われることになっています。

 この制度が正常に機能していれば、「国保逃れ」は起こりません。ただし、このケースは少ないようです。

 国会議員は個人事業主でもあるため、国民健康保険か、議員が会社役員などを兼務している場合は、その会社の組合管掌健康保険(組合健保)か全国健康保険協会(協会けんぽ)に入ることも認められていて、どうやらこちらの方が一般的であるというのが私の調査の結果です。