脳と小腸はどちらがより重要か

──そういえば、男性が1人で写っている写真と、男性が女性と一緒に写っている写真だと、同じ男性でも女性と一緒に写っている写真のほうが女性には魅力的に見えるという話がこの本の中にありました。

中野:そういう実験が報告されていますね。男性の隣に笑顔の女性が写っていると、男性が単独で写っているよりも、その男性を女性は魅力的に感じるというものです。

──一緒に写っている女性が笑っていなければダメなのですね。

中野:そのようです。「この男性は女性を幸せにする人なのだな」という印象を抱かせるからと考えられています。こう考えると、家族が幸せそうな既婚男性と、そうではない既婚男性の場合、妻を大事にして幸せにしているらしき男性のほうが、不倫しやすいと言えるかもしれません。

──男が男友達と一緒に笑っている写真では効果がないのでしょうか?

中野:同性愛の方でのデータがないのでなんとも言えませんね。あくまで異性愛の女性に対しては、笑顔の女性と一緒に写っている男性が魅力的に映るというデータです。

──脳と内臓の関係についても言及されており、実は性格や感情、ものの感じ方や考え方は、脳と内臓の共同作業によって組み立てられている、と書かれています。本書では、脳と腸の関係について言及されています。

中野:脳と腸の関係を考える上で、キーになる物質はセロトニンです。人体のどこにセロトニンがたくさんあるのかというと、じつはその9割が小腸にあります。

 では、小腸にあるセロトニンがそのまま脳に行くのかというと、血液脳関門を通らないのです。つまり、脳で使うセロトニンは脳で合成されなければならないということになります。

 ところが、小腸の状態が良いと、脳内のセロトニンの動態も望ましい状態になるようで、脳と腸には相関関係があると言われるようになりました。

 進化の歴史を見ると、腸のほうが脳よりもずっと歴史が長い。消化管として完成された腸の方がずっと大事な器官であり、脳が後からサポーティブにできていったとも言える。

 脳がすごく大事だと私たちは考えがちですが、むしろ脳を研究している人ほど、脳は情報の処理センターであって、生存のために絶対必要なものではないと言うのではないかと思います。