内側前頭前野を鍛える方法
──どのように鍛えることができるのでしょうか?
中野:少し前に話題になったマインドフルネスの取り組みに似ていますが、否定したり肯定したりせずに、ただ客観的に自分の今の状態を眺めるというやり方があります。
たとえば、「今風が吹いてきて気持ちいいな」を「今風が吹いて気持ちいいなと私は思っているな」と意識する。「今人前で話すので緊張するな」を「今人前で話すので緊張するなと私は思っているな」と自分の状態を知る。自分の心ありようを客観的に見るようにするのです。
──まるで一人称の小説を三人称に書き換えるような感じですね。
中野:その通りです。自分の今ある状態を、全部カッコの中に入れるのです。
──けっこう簡単に鍛えられるのですね。
中野:簡単かどうかは、ちょっと……。意外とやってみるとできないものですよ。
少しでも疲れているとき、何かを我慢している時、焦っているとき、お酒に酔っているとき、誰かに性的に強く惹かれているときなどは、このように冷静に客観視して自分を見ることがほぼできなくなります。
意識的に自分を客観視するということが、ただ、想像しているよりずっと難しいことを知るだけでも価値があるかもしれませんね。
──モテる人には、一人称の人がむしろ多くないですか?
中野:ああ、それは誰にモテたいのか、ということだと思います。
弱ったカナブンがいっぱい寄ってくるだけでもモテたと感じる人もいるでしょうし、お目当ての大きいカブトムシに寄ってきてもらえなければモテたと感じない人もいるでしょうし。弱ったカナブンでいいなら、メタ認知なんてむしろない方がいい場合も多々ありそうです。
──不安定な人はなびきやすい、ということですね。
中野:不安定が何を指すのかがよくわかりませんが。「この人」という相手がいるのであれば、メタ認知があったほうが有利でしょうね。戦略も必要です。