中国の諜報活動を英国はどこまで監視できるか
米中対立の長期化と激化を背景に、グローバルな安全保障の枠組みと経済の枠組みが再構築するタイミングに来ているということは、国際社会の共通の認識だ。各国は米国と中国のどちらに傾斜するか、という選択肢を程度の差はあれど迫られている。
米国と歴史的地政学的に近いカナダや英国では、人権や民主主義の価値観から中国に対するリスクは理解しているものの、追加関税を振りかざし自国の利益を強硬に追及するトランプの米国に依存しすぎることに危機感を感じる人も多いという。スターマー政権の中国接近も、カナダのカーニー首相と同様、リスクヘッジとしての面がありそうだ。
どのような背景や理由があろうと、すでに中国メガ大使館はロンドンのど真ん中に建設されることになった。現在、英国に中国人外交官は150人近く登録されているが、おそらくその人数も増大することだろう。
果たして、ジェームズ・ボンドの国の威信をかけて、このメガ大使館をきっちり監視、コントロールできるのか。中国の諜報活動や隠密工作を防げるのか。世界が成り行きを注視している。
福島 香織(ふくしま・かおり):ジャーナリスト
大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。主な著書に『なぜ中国は台湾を併合できないのか』(PHP研究所、2023)、『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房、2023)など。