AIは電力を食うからこそ進めるべき

 答えは、ここまで述べてきた「26兆円」にある。日本は1年間に化石燃料輸入として26兆円もの国富を海外に支払っている。

 ここに課税を行う、すなわち化石燃料輸入に対する課税を設計し、数兆円規模の財源を確保すればよい。

 といっても、消費者を直撃するガソリン税を上げたりする必要はない。史上最高の資金余剰が続いている大企業セクターに対する課税を強化すればよい。

 具体的には、化石燃料を輸入し使用する大手企業に対するカーボンプライシング課税を強化することを柱とすれば、化石燃料輸入への抑制効果も期待でき、一石二鳥だ。

 その財源で、電力会社の系統接続の強化、蓄電池整備、そして浮体式洋上風力の技術開発と量産体制の構築を一気に進めることができる。

 これは日本の国内問題では終わらない。浮体式洋上風力の技術が確立されれば、日本は世界のエネルギー問題の解決にも貢献できる。

 技術輸出は新たな外貨獲得手段となり、同時に国家安全保障上の抑止力にも結び付く。

 消費税をどうするかは、もちろん重要な論点である。

 しかし、それと同じ規模の国富が毎年、化石燃料輸入として海外に流出し続けている。

 これを止めることこそが、日本の成長、国民生活の安定、財政の持続可能性、そして国家の安全保障を同時に強化する、最大の国家戦略ではないだろうか。

 その中で、タイムリーな本が出た。「Ei 革命 エネルギー知性学への進化と日本の進路」(2026年1月26日発売、集英社)。

 著者の飯田哲也さんご本人の履歴を紹介すれば、京都大学大学院原子核工学修了、東京大学先端研博士課程単位取得満期退学、原子力産業従事後に「原子力ムラ」を脱出、(以下略)。

 その後、ソフトバンクの孫正義さんが設立した自然エネルギー財団などで活躍され、自然エネルギー政策では国内外の第一人者の一人として知られている。

 孫正義さんも先導する世界的なAI革命により、世界の電力需要は飛躍的に増大している。そして、GAFAMなどの米国の巨大AI企業のほとんどは、AI向けデータセンターの電力調達には再生可能エネルギーを義務付けている。

 これからの日本の経済政策の最大の柱は「AI×データ」であり、そのためのデータセンターの電力が再生可能エネルギー中心であることが求められるのであれば、日本の持続的な経済成長のためには「化石燃料→再生可能エネルギー」への大転換こそ日本最重要の経済安全保障であり、国家安全保障であり、国民生活向上政策であるのは自明のことだ。