原子力発電はあくまで補助的手段

 しかし現実には、金額ベースで化石燃料輸入はむしろ増えている。

 化石燃料輸入赤字が拡大し、貿易赤字が円安を加速させ、その円安がさらに輸入額を膨らませる。

 こうした悪循環が、化石燃料輸入による国富流出を一段と深刻化させている。いま断ち切らなくてはならないのは、この構造である。

 化石燃料輸入をゼロにする手段は、大きく言えば2つしかない。一つは原子力、もう一つは再生可能エネルギーである。

 まず原子力について見れば、政府は中期的に、電源構成の中で20%程度まで高める方針を掲げている。

 しかし現実には、この目標を予定通り実現することは容易ではない。理由は単純で、日本列島の地理条件が根本制約として存在するからである。

 原子力に依存できる国は限られている。

 ロシア、中国、インド、米国のように国土が極めて広大で、一地域で事故が起きても国全体として吸収できる余地がある国。

 あるいはフランスのように、地層が古く岩盤が安定しており、地質条件のリスクが相対的に小さい国である。

 それに対して日本は、プレート境界に位置し、地震と津波の発生確率が世界平均の200倍という特殊な地理的条件下にある。

 国土は細く、狭く、長い。原子力発電所の多くは海岸線に立地し、ひとたび事故が起きれば広範な地域に影響が及ぶ。福島第一原子力発電所の事故がそれを示した。

 もし経済活動が集中する太平洋ベルト地帯や人口密集地帯で同様の事故が起きれば、影響はさらに大きくなる。

 放射能汚染で国土が帰還不能となり、使えなくなるという「国土喪失」のリスクを、日本は常に抱える。