EA-18Gの電波妨害で防空と指揮機能マヒ

 電子戦では、敵に電波を放出させることでその位置を特定し、対レーダーミサイルで攻撃する場合が多い。

 ただし、この攻撃だけでは、すべての防空兵器を破壊できたかどうかは分からない。

 攻撃後にもしも残存した防空兵器があれば、これにより攻撃を受け被害を受けることがある。

 また、指揮通信機能が残っていれば、残存している部隊に反撃命令が下され、その後、戦闘機などにより反撃されることもありうる。

 そうした事態を避けるには、電波妨害を行うと効果が大きい。

 米軍が使用した機体の中に、空母搭載の「EA-18Gグラウラー」電波妨害機があった。

 この機が、定められた時間、ベネズエラ軍の防空兵器のレーダーを妨害し、指揮通信を途絶させて各部隊を孤立させ、上級部隊から隷下部隊へ命令が届かないようにしていたと考えられる。

図6 電波妨害で残存兵器の機能を阻止


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米軍の電子戦がロシアを圧倒的に凌駕

 ロシアはかつて、「S-300 」防空ミサイルが弾道ミサイルを撃墜できると言っていた。このことから、ロシアとの協力関係がある国は、そのことを信用して多額のお金を払って購入していた。

 イランやベネズエラは、S-300以外にも各種防空ミサイルに大金を払って購入し配備していたにもかかわらず、米国のステルス機を使ったミサイルなどに一矢も報いることができなかった。

 イランやベネズエラへの奇襲攻撃では、米軍の電子戦が、ロシアの電子戦を圧倒的に凌駕していたことを示したものであった。

 米軍の電子戦能力は、ロシアと中国のそれに対して圧倒的な差をつけていることが判明したのである。

 中国・北朝鮮は、イランやベネズエラと同じロシアの防空兵器を購入している。

 もしも今、ロシアの兵器を購入していた国が米国から攻撃を受ければ、イランやベネズエラの二の舞にあるいはそれに近い戦いの様相になる可能性がある。

 これまで述べてきた米軍の戦い方は、派手なミサイル攻撃の陰に隠れていて映像では見えていない分野が多い。

 しかし、中国がこの点に強い関心をもって見ていたことは間違いない。もし、台湾有事や朝鮮半島有事があり米軍が巻き込まれれば、ベネズエラ作戦と似た戦いが生起する可能性があるからだ。

 今後は、中国も今回の米軍のような戦いができる準備を行ってくるであろう。

B-2爆撃機(右)と編隊を組んで飛ぶ2機のEA-18G電子戦機(左4機のうちの中央2機、2022年3月28日撮影、米空軍のサイトより)