・テクノロジーナラティブ(世界観):「フィジカルAI」の時代を見据え、フルスタックでのエコシステム構築を目指す

 ファン氏は、CESの公式プログラムにはないプライベートな基調講演を事前予約制で実施。エヌビディアが引き続きAIハードウエアのリーダーシップを維持しつつ、AIが物理世界に浸透する「フィジカルAI」の時代を見据え、ソフトウエア、ネットワーキング、データセンターインフラを含むフルスタックでのエコシステム構築を目指していることを、1時間半のプレゼンテーションで明確に示した。

エヌビディアの世界基盤モデル(World Foundation Model)とは、「NVIDIA Cosmos」プラットフォームの中核をなす、AIに物理世界を理解・学習させるための「フィジカルAI」の基盤である。9000兆トークン(2000万時間分の動画データ)で学習し、テキスト・画像・動画を入力することで物理法則に従った高品質な映像やシミュレーションを生成でき、汎用的なロボットの学習・展開を可能にする(出所:ces.tech)
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・バリュープロポジション(価値提案)①:自動運転システム 「Alpamayo」 の推進

 ファン氏は、AIをデジタル世界だけでなく、「現実世界」で行動できる存在へと進化するという「フィジカルAI」のビジョンを強調した。ロボティクス分野ではロボットが状況に応じて判断し、行動できるようにするためのモデル群「NVIDIA Cosmos」や「GR00T」を紹介するとともに、自動運転車向けの新しいオープン推論モデルファミリー「Alpamayo」(アルパマヨ)を発表した。車載コンピューターがカメラなどのセンサー入力から状況を推論し、解決策を導き出すことを可能にするという。会場ではサンフランシスコ市内を「Alpamayo」を搭載したメルセデス・ベンツの新型「CLA」がハンズフリーで走行するデモ映像が流された。

・バリュープロポジション(価値提案)②:次世代AIプラットフォーム 「Vera Rubin」 の発表

 新しいAI時代を支えるため、次世代アーキテクチャ「Vera Rubin」(ベラ・ルービン:米国の女性天文学者にちなむ名前)を発表。Vera Rubinベースの新しいプロセッサは、チャットボットやその他の高度なAIアプリケーション実行時において、前世代と比較して5倍のAIコンピューティングパワーを提供するとされている。6つのチップを協調動作させる「極限的な協調設計(extreme co-designed)」プラットフォームにより、電力効率や推論性能のボトルネックを解消している。これらの次世代AIプロセッサはすでに「フル生産」に入っており、2026年後半にはパートナー企業からシステムが供給される予定という。

・戦略的Offering:フィジカルAIで共創し自動運転車やロボットを生み出す

 基調講演では、自動運転システム「Alpamayo」で共創するメルセデス・ベンツをはじめ、自動運転、人型ロボット、工場や倉庫の自動オペレーションなど「フィジカルAI」の開発と実装で共創する企業30社以上の名前がビデオ上で紹介された。

 後日、著者が「CES Foundry」の期間中(1月7~8日)にフォンテンブロー・ラスベガス会場を訪れたところ、エヌビディアと共創する企業のプロダクトを展示するコーナーが設けられており、プライベートな基調講演の来場者にエヌビディアの求心力を強く印象付けたことが十分に推察される光景を目にした。