
世界の自動車メーカーがEV化ロードマップの修正を迫られている中、完全EV/FCV化を推し進めていたホンダもついに販売目標の見直しを発表した。「EV普及の遅れにより関連投資を7兆円に減額」と報じられるが、見落としてはいけないのは、これによって生じる空隙を埋める新戦略だ。ホンダが開催した事業計画説明会「2025 ビジネスアップデート」およびその後のメディア向けラウンドテーブルから、自動車ライター・大谷達也氏がホンダの軌道修正の意図と新戦略を読み解く。
ついにEVとFCVのロードマップを見直すも目標設定は変わらず
ホンダのEV戦略が大きく見直されたことを知らせる記者会見だった。
5月25日に開かれたホンダの「2025 ビジネスアップデート」において、三部敏宏社長は引き続き「カーボンニュートラル実現に向けて、長期的視点ではEVが最適解である」と考えているものの、「EV普及の前提となっていた環境規制は米国・欧州を中心に緩和される方向性が強まり、EV市場の拡大は当初の想定より遅れている」と説明。こうした状況を鑑み、「2030年時点のEV販売比率の見通しは、これまで目標としていた30%から下回る想定です」と言明したのだ。
欧州の自動車メーカーが立て続けにEV販売比率の目標を見直す中、2021年に発表した「先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には85%、2040年にはグローバルで100%を目指す」との方針をかたくなに守り続けているように思えたホンダにとっては、画期的な発表といっていいだろう。