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 SDV(ソフトウエアデファインドビークル)に向けたコントロールユニットや電動車に向けたバッテリーマネジメントシステムなど次世代モビリティへの投資を加速している自動車部品大手マレリ。同社の強みの1つに日産の子会社時代に培われたラジエーターや排気系に関するノウハウがあり、これらの技術も電動化時代に注目されているという。マレリの製造・開発現場を訪れた自動車ライターの大谷達也氏が、同社の技術の独自性や今後の展開の可能性をリポートする。

日本に拠点を置く世界有数の自動車部品メーカー

 マレリは埼玉県に本社を置く自動車部品メーカーである。

 同社に関連する最近の報道といえば、その多くが借入金の返済猶予に関するものではなかろうか。マレリの持ち株会社であるマレリホールディングスは2022年に負債が1兆1856億円(連結で1兆8762億円)まで膨らんで東京地裁に民事再生法の適用を申請し、国内の製造業では過去最大規模とされる経営破綻に陥った。その後、債権者会議で再建計画案が可決され、取引銀行は4200億円を越す債権を放棄。以来、経営の合理化を進めながら再建に取り組んできたものの、現在も6000億円ほどの負債が残っていると見られる。

 2023年度の売上は、マレリの発表によれば1兆6065億円。この数字を信じるなら、自動車部品メーカーのグローバルなランキングで15位前後に入る規模をマレリは有している。にもかかわらず、なぜ、彼らは経営破綻に追い込まれたのか。