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「宇宙開発は巨大である必要はない。賢くあればいい」。ニュージーランド発の宇宙スタートアップ、ロケットラボ創業者のピーター・ベックは、同国の地理的な孤立を打ち上げ適地という強みに変え、巨大ロケット中心だった産業構造に“小型・オンデマンド”という新基準を持ち込んだ。この「逆転の発想」は、小国の民間企業からいかにして生まれたのか。

「巨大さ」を弱みに、「小ささ」を強みに変える

 ニュージーランド発の宇宙スタートアップ、ロケットラボ創業者のピーター・ベックは、短期間で小国の小さな町に世界の宇宙関連企業が注目する拠点をつくり、産業をリードする地位を築いた。彼が描いた新しい事業コンセプトは、「低コストで」「小型ロケットを用いて小型衛星をオンデマンドで打ち上げる」という“宇宙アクセスの民主化”だった。

 そこには2つの「逆転の発想」が含まれている。

 1つ目は、ニュージーランドが抱える「孤立」という弱みを強みに転換する発想であり、2つ目は、宇宙産業で競争相手が持つ「巨大さ」という構造的強みを弱みに転換し、自分の弱点である「小ささ」を強みに変えたことである。