「車を手放した」「スーパーでの買い物は週1回」
「今のマーケットは明らかに過熱感がある。これからリーマンショック級の暴落が起きたら、年金暮らしの自分には打撃が大きい。できればその前に手仕舞いたいが、配当との兼ね合いもあってなかなか踏み切れない」
多くの年金受給者にとって大きな脅威となっているのが、40年ぶりのインフレに伴う急速な物価高だ。
とりわけデフレ経済に慣れた70代以上にはギャップに戸惑う人が多く、「とうとう“金食い虫”の車を手放した」「スーパーに行く回数を週1回に減らして買い物代を抑えている」「外食は専らファミレスか回転寿司」といった声が聞こえてくる。
高市早苗政権は2025年末にガソリン暫定税率の廃止に踏み切った上で、補正予算で2026年1~3月の電気・ガス料金の補助、「重点支援地方交付金」の拡充による食料品の購入支援、子育て家庭への高校生以下の子ども1人につき2万円の交付など総額8兆9000億円規模の物価高対策を打ち出した。
おこめ券配布が国民から猛反発を食らった結果、重点支援地方交付金の枠組みを使って「地域の実情に応じた柔軟な支援」を行う形に落ち着いたが、給付の対象や方法は自治体によってさまざま。「65歳以上に地域振興券1万5000円分、64歳以下に同1万円」(奈良県斑鳩町)といった高齢者に手厚いものもあれば、「低所得の子育て家庭に児童1人につき5万円を支給」(茨城県)など子育て支援を重視するものもあり、重点支援領域は自治体によってまちまちだ。
自民党の歴代政権の政策を踏襲する“ばらまき”スタイルには、経済学者などから「誰を救おうとしているのかよく分からない」「インフレ下の需要刺激策は物価高を加速させるだけ」という厳しい見方も寄せられている。
高市首相は年頭の「新年の所感」で、物価高対策の次の柱として「賃上げ」と「円安是正」の2つを挙げている。
4年後の30年には65歳以上が国民の3人に1人を占める日本。この世代が安心して暮らせる社会をつくらなければ、首相が目指す「日本を再び世界の高みに押し上げる」の実現は難しいのではないか。
子どもや現役世代への支援が大事なのはもちろんだが、だからといって物価高への不安感が増す年金生活者世代を放置していいということにはならないはずだ。