医療費の「7ケタ」自己負担が増える背景
妻が歯科で保険が適用されない自由診療のセラミック治療を受けることになり、対象となる歯の本数も多かったことから、総額がなんと250万円以上に上ったのだ。
「保険治療の歯でいいじゃないかと思ったが、妻によれば見た目が全然違うという。担当医からは『女性の寿命を考えれば20年は使っていただける』と言われたらしく、妻は『1年12万円なら妥当な値段じゃない』と減らず口を叩いている」
たしかに妻の年齢を考えると、あと20年以上生きる可能性は十分ある。「セラミックは保険適用の銀歯よりも長持ちするし、銀歯のように経年劣化で隙間ができたり、アレルギーの原因になったりするリスクも少ない」という担当医の言葉は一理ある。
とはいえ自由診療である以上、高額療養費の制度が使えず、250万円は全額自己負担となる。「確定申告すれば医療費控除が受けられる」とアドバイスされたが、男性は「年金暮らしでそれほど税金を納めているわけではないので還付金などスズメの涙」と諦め顔だ。
自由診療が幅を利かせるのは、がんなど難病の治療だけではない。高齢になると受診の機会が増える歯科、眼科、整形外科などの診療科でも最新のテクノロジーを導入した自由診療が増えており、男性の妻のように自己負担が7ケタとなるケースも珍しくない。
生死やQOL(生活の質)にどう影響するのか、自由診療の増加で見極めが求められる局面は今後も増えそうだ。
現役時代と比べて収入が大きく減る中で、身内への援助が負担になっている人もいる。
「3000万円の退職金の半分を子どもや孫に注ぎ込んだ」
そう話すのは、千葉県在住の70歳の男性だ。