とても「親戚付き合いを止めます」とは言えない

 お金がかかるのはお祝いだけではない。リタイアした後には長兄と次兄が相次いで病気で亡くなった。見舞いや葬儀、法要などで何度か九州に足を運び、その都度、見舞金や香典、供花料などを包んできた。

「月額25万円ほどの年金だけでは当然賄いきれないので、老後資金を切り崩している。親戚が多いと賑やかだし、親の介護や墓守りなども皆で協力できるのが心強い半面、特に地方の場合は旧来型のディープな付き合いが続くので、お金がいくらあっても足りなくなる」

 地元には高齢の兄と姉が4人おり、奈良県出身の妻も姉2人が健在だ。男性も妻も末っ子で兄や姉には世話になった恩義があり、とても「親戚付き合いを止めます」と言い出せる雰囲気ではない。

「きょうだいがいなくなる頃には我が家の資産も底を突くのではないかと、今から戦々恐々としている」

 2019年には「公的年金だけでは老後資金が2000万円足りない」という、いわゆる「老後2000万円問題」が話題となった。老後に向け、民間の年金商品や不動産など他の収入源を準備している人も少なくないだろう。

 とはいえ、こうした“自分年金”も明暗が分かれる。

 千葉県在住の72歳の男性は、会社員時代に親から相続した土地にローンを組んで1DK中心のアパートを建設した。実家から徒歩圏内に有名大学のキャンパスがあり、学生需要で当初数年間の稼働率は100%だった。

 世帯の年金収入は300万円ほど。老後はこのアパートからの上がりを元手に、趣味のツーリングや妻との旅行を楽しむつもりでいた。

 しかし、その目論見は大きく狂った。