メダルの色を左右するのは?
坂本が五輪に3回出られるのは、最初の五輪(平昌)に17歳で出たという「年齢」が影響しているところもあると思う。
年齢制限のルール変更によって、同じく現在17歳の島田麻央選手はミラノ五輪に出場資格がない。島田は五輪を、はやくて21歳で迎えることになるわけで、3回五輪に出るには、29歳までフィギュアスケートを続けなければならない。ルール変更がもたらす「運」もまた、フィギュアスケート選手を大きく左右するファクターである。
2025年12月21日、フィギュア全日本選手権・女子フリーの演技をする島田麻央選手(写真:共同通信社)
そうした運をも味方につけた坂本の軌跡をたどっていくと、引くところは引き攻めるところは攻める冷静なアスリートであると同時に、関西人らしい明るくおおらかなキャラクターでもって、フィギュアスケート人生を成熟させてきたと感じる。周囲に耳を傾けながらも年月をかけて自分の強みに集中し、誰もたどり着かなかった場所に到達した。
こうした歩みは、スポーツ選手以外も、大いに学ぶところがあるのではないか。集大成と位置付けるミラノ五輪での演技が楽しみでならない。
最後に、坂本のライバルになりそうなのは、やはり坂本にはない「大技」を持つ選手たちだろう。個人資格の中立選手(AIN)として出場が許可されたロシアの選手は大技を入れてくると予想されるし、米国の選手にもトリプルアクセルがある。
坂本自身でいえば、懸念があるとしたら、ルッツジャンプではないか。全日本フィギュアでも、踏切が曖昧だとしてアテンションマーク(!)が付いた苦手意識のあるジャンプの出来が、メダルの色を左右する可能性がある。
とはいえ、坂本には磨き上げた技はもとより、十分な経験がある。五輪代表が決まった後の会見では、若い選手たちにも語りかけるようにして「頑張るのは当たり前なんですけど、みんな自分を大事に過ごして、ベストコンディションで臨めたら」と語った。
坂本選手の五輪ラストダンスに注目したい。





