3度目の五輪出場となる坂本花織選手(写真:共同通信社)
(砂田 明子:フリーランスライター、編集者)
ジュニア時代はライバルに遅れ、シニアで開花
2026年、スポーツの話題といえば、まずは2月に行われるミラノ・コルティナ五輪だろう。
冬季五輪の花形・女子フィギュアスケートでは、坂本花織選手(25)が3大会連続の出場を決めた。2018年の平昌、2022年の北京、そして今年のミラノ・コルティナ。3大会連続でオリンピックに出場するフィギュアスケート選手は、男子では羽生結弦さんがいたが、女子では初の快挙である。
坂本はほかにも、全日本選手権5連覇、日本人初となる世界フィギュア3連覇などの偉業を成し遂げてきた。大スターであることは言うまでもないのだが、近年、フィギュアスケートは地上波での放送が減っており、その偉業がまだ十分に伝わっていないかもしれない。
フィギュアスケートの全日本選手権で5連覇を果たし、ミラノ・コルティナ冬季五輪代表に決まった坂本花織(2025年12月21日、写真:共同通信社)
また、坂本の歩みは、過去の女子フィギュアスケート選手とは異なる点が多く、新しい成功モデルを打ち立てたとも筆者は感じている。
前回の北京で銅メダルを獲得した坂本は、ミラノ五輪では「銀メダル以上」と目標を明言している。メダル候補として臨むミラノ五輪を前に、坂本選手の歩みを振り返りたい。
初めて坂本の滑りを生で見たのは、2014年の全日本ジュニア選手権(新潟)だった。ジャンプが大きく、元気のいい選手という印象だった。結果は2位で、優勝は樋口新葉選手。将来が期待される若手選手が注目を浴びはじめる中で、このころ、坂本は、特別目立った存在だったわけではなかったはずだ。同世代で、実力とともに人気が頭一つ抜け出ていたのは、本田真凜さんだった。
本田さんは、2016年の世界ジュニア選手権で優勝、2017年は銀メダル。その後シニアに上がった際に筆者は取材しているが、他のどの選手よりも取材陣が殺到するフィーバーぶりが記憶に残っている。
一方、坂本も2017年に世界ジュニアに出場したが銅メダルで、世界ジュニアでの優勝はない(全日本ジュニアでは優勝している)。安藤美姫さんや浅田真央さんはじめ、女子フィギュアスケートのスター選手は、幼いころから頭角をあらわす選手が多いが、坂本はそこまでではなかった。
2017年3月に行われたフィギュア世界ジュニア。国旗を背に笑顔の2位の本田真凜(左)と3位の坂本花織(写真:共同通信社)
だが、シニアに転向後、日本のみならず、世界の女子フィギュアスケートをけん引する存在となる。