ベネズエラ国営石油会社の製油所がある街、エルパリト(写真:AP/アフロ)
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(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=56ドルから59ドルの間で推移している。1月3日の米軍のベネズエラ攻撃で原油価格は59ドル近くまで上昇したが、「ベネズエラからの原油供給が増加する」との観測から56ドル台に下落した。その後、「米国の制裁強化でロシアの原油供給が減る」との見方が浮上し、原油価格は58ドル台に上昇した。

 今週の原油市場を支配したのはベネズエラ情勢だった。

ベネズエラ攻撃で最大の恩恵を受けるのはシェブロン

 米軍のベネズエラ攻撃にもかかわらず、5日の原油価格は前週末比1.7%増の1バレル=58.37ドルにとどまった。原油価格の上昇を嫌うトランプ米大統領の意向に沿う形で作戦が実施され、ベネズエラの主要な石油インフラへの攻撃がなかった。国営石油企業PDVSAの生産活動も順調だと言われている。

 原油価格はその後もじり高で推移したが、7日に入ると56ドル近辺に急落した。トランプ氏が6日、自身のSNSで「ベネズエラ暫定当局が高品質で制裁対象の原油3000万~5000万バレルを米国に引き渡す」と発信したことが要因だ。

 トランプ氏の発言を受けて政権高官は7日、「ベネズエラから米国への原油供給は直ちに開始され、初回の出荷は3000万~5000万バレルになる。原油の輸出を可能にするため、ベネズエラへの制裁は部分的に解除される見通しだ」と述べた。

 ロイターも6日「米国とベネズエラ当局者は米国への原油輸出について協議している」と報じた。 

 トランプ氏は「ベネズエラへの投資計画を協議した」と述べているが、米石油大手3社は「攻撃前にホワイトハウスと協議していない」とのスタンスだ。

 現在ベネズエラで操業している米石油大手はシェブロンのみだ。メキシコ湾岸などの製油所向けにベネズエラで重質油を生産しており(日量約15万バレル)、5日、米国への原油輸出再開のため、海外に避難した従業員約20人に帰還を要請した。米軍の攻撃により最大の恩恵を受けるのはシェブロンだとの見方が一般的だ。

 一方、エクソンモービルやコノコフィリップスは2007年にベネズエラから撤退しており、事態の推移を慎重に見守ることが予想されている。