輸出目標「800億ドル」へ拡大、実績が裏付けに
アマゾンのインド戦略は、単なるインフラ投資にとどまらない。注目すべきは「輸出拠点」としてのインドの活用だ。
同社は今回、インドの中小企業によるEコマース累計輸出額を、2030年までに800億ドル(約12兆4500億円)へと拡大する目標を掲げた。
振り返れば約2年半前、ジャシーCEOは2025年までの輸出目標を「200億ドル」と設定していた(2023年6月時点)。
今回の発表資料によれば、この「200億ドル」の目標は既に達成・実現している。有言実行の実績を足場に、目標値を一気に4倍へと引き上げた形だ。
その輸出拡大を下支えするのが、AIによる業務効率化。同社は1500万社の中小企業にAIツールを提供し、商品登録や越境ECの障壁となる言語・物流の問題を解決しようとしている。
これにより、2030年までに新たに100万人の雇用創出を見込む。
本国の「痛み」と海外の「攻め」
しかし、この華々しい投資計画を、手放しで称賛することはできない。その原資の一部は、本国における「痛み」によって捻出されたものともいえるからだ。
アマゾンは昨秋、管理部門を中心に約1万4000人の人員削減に踏み切った。
ジャシーCEOは「官僚主義の排除」と「スタートアップ回帰」を掲げ、組織のフラット化を断行。現場ではAI導入による業務効率化が強く求められ、従業員の士気低下という副作用も表面化していた。
すなわち、成熟してコスト高となった欧米の組織をスリム化し、そこで捻出したリソースを、AIインフラと成長著しいインド市場へ「再配分」しているのが現在のアマゾンの姿だ。
株価は高値を維持しているものの、この急激な「新陳代謝」が社内にもたらす軋轢(あつれき)は、依然として経営のリスク要因である。