組織規律が緩むOPECプラス
IEA月報12月号によれば、11月はイラクが同37万バレル、カザフスタンが同32万バレルの枠超過生産をしていている一方、OPECプラス合計では同39万バレルの生産枠未達となっている。すなわち、イラクとカザフスタン以外の産油国は同108万バレルもの未達状態にあるということだ。
これは、生産枠そのものの正当性に疑問をもたらし、OPECプラスとしての組織規律が緩んでいることの表れではないだろうか。
油価見通しについては、ダラス連銀が12月17日に発表した2025年第4四半期レポートにあるアンケート結果がヒントを与えてくれると筆者は判断している。
出所:ダラス連銀
WTI平均価格59ドルだった12月3~11日実施のアンケートには、石油開発企業90社、油田サービス企業41社が回答しており、2026年末の予想WTI価格は平均62.41ドル(50~82.30ドル)だった。
また、上のグラフから見て取れるように、業界関係者の予想はほぼ55~69.99ドルの範囲に収まっている。
さらにコメント欄には、石油開発企業各社が予算策定の前提価格としているのは60~64.99ドルが55%だったとある。
総じて、2026年の油価が現行水準からさらに大きく落ち込むと見ている向きは少ないと言える。
筆者は、WTIは米国の指標で世界の指標原油はブレントだと考えている。
OPEC月報が報じているWTIとブレントの値差は、2025年1月から11月までの平均が3.38ドル(2.31~4.18ドル)だった。したがって、前述ダラス連銀のアンケート結果は、「2026年末ブレント価格予想65.79ドル相当」と読むことができるだろう。
以上を踏まえて筆者は大胆に、想定外の地政学リスク勃発(たとえば2025年7月のイスラエル・米国によるイラン核施設爆撃等)による一時的な急騰、急落はあるとしても、2026年のブレント原油価格も60ドルから80ドルの範囲で推移し、平均は65~70ドルになるのではないかと予想している。
はてさて、どうなるのであろうか。




