トランプの「TACO」は2026年も頻発する

 筆者は、トランプの「TACO」は2026年11月の中間選挙が近づくにつれさらに頻繁に現出すると見ている。その結果、世界経済が何とか正常運転に戻れる水準で関税率も収まり、世界のサプライチェーンも新しい秩序に適応してくるのではないだろうか。

 12月14日に「FT」が報じているオピニオン記事 “What economists get wrong in 2025”によれば、米国の平均関税率は「トランプ2.0」以前は2~3%だったのだが、一時27~28%にまで上昇し、その後「TACO」により最近では16~17%に落ち着いているとのことだ。その効果もあり、米株価は好調に推移している、と。

 このように「相互関税」以前よりは高い水準であっても関税問題が落ち着きを見せれば、つまり「不確実性」が減ずれば、企業家は新規投資に踏み出せるのではないだろうか。そうすると安価なエネルギー価格が新たな需要を喚起することにもつながると筆者は見る。

 では供給サイドはどうか? OPECプラスはどのような生産政策を打ち出し、実行してくるのだろうか。

 OPECプラスは2022年から3度にわたる大型「協調」減産を実行した。そして2025年4月から9月にかけて3度目の日量220万バレルの減産を完全に緩和(増産)し、次に2度目の同166万バレル減産の解消(増産)に手を付けようとしている。だが、油価が低迷しており10月から始める予定が先送りされている。

 筆者は、そもそも減産緩和(増産)を実行に移すことは困難だと見ている。

 それよりもOPECプラスが団結を維持できるか否かの瀬戸際に立たされるのではないだろうか。2026年のOPECプラスの生産政策は実質レッセフェール(自由放任)になるのではないだろうか? 

 IEAは12月号月報で「2026年は日量384万バレルの供給過剰」になるとの見方を示した。だがこの予測は、OPECプラスが同166万バレルの減産緩和を完全に実施できることを前提としているが、昨今生産枠を満たせない産油国が多発している。