トランプ関税によるコスト増、不確実性で投資決断できず
トランプ2.0開始後の3月中旬に開かれたエネルギー国際会議(CERAWeek)でエネルギー業界関係者が指摘した「トランプ関税には飽き飽きしている」に集約されているものだ。
詳細を「岩瀬昇のYoutube のびパパエネルギーチャンネル」第51回(2025年3月24日)で紹介したが、業界関係者はトランプ関税政策がコロコロ変わってしまう事業環境下では投資決断ができない、様子見にならざるを得ない、この「不確実性」こそがトランプ関税政策の最大の障害なのだと指摘していたのだ。
そして今もトランプ関税によるコスト増に加え「不確実性」は続いており、投資決断が困難な状態が継続しているのである。
相互関税については米国で、トランプ政権が根拠としている国際緊急経済権限法(IEEPA)に違反しているとの一審、二審判決が出ている。不満なトランプ政権は上訴し、年内か来年早々に最高裁判決が出る見込みだが、違法判決が出る可能性が高いと報じられている(たとえばNHK報道)。
だが敗訴したら別の方策を考えるとトランプ大統領は明言しており、最高裁判決が出たとしても「不確実性」は依然として強く残り続けると見られているのである。
こうした点を踏まえると、2026年はどうなると見るべきだろうか?
予測のカギはトランプの交渉スタイルだと喧伝されている「TACO」(Trump Always Chickens Out)にあると筆者は見ている。すなわち、最初は強気で押してくるが相手が折れて来ないと、結局は相手の要求を丸呑みするというスタイルだ。
これは、トランプを一躍有名にした『トランプ自伝:不動産王にビジネスを学ぶ』(原著 ”Trump : The Art of the Deal” 1987)の共著者とされているトニー・シューウォーツの記事『トランプのゴーストライター、良心の告白』を読めば容易に理解できる。
自叙伝のゴーストライターになることを持ちかけられたシューウォーツが断るつもりで吹っ掛けた条件、「一時金50万米ドル(現在価値では約2億円)、印税50:50」という条件をトランプが即決、受諾したことから本書は出来上がったのだった。