反AIに揺れる現場
マライ:生成AIの普及を巡っては、ヨーロッパでは反発も大きい。米国ではどうでしょうか。
町山:アメリカでも反発はあります。俳優組合や脚本家組合は、AIの使用に反対してストライキをしました。AIを使う場合はその分の利益を組合に還元するという形で決着しましたが、実際にはエキストラはどんどんAIに置き換えられていますし、脚本自体もAIの活用が進んでいます。
AIは環境破壊にもつながるでしょう。数秒動画を作って何度も見るだけで、どれだけの電力と水が使われるか。データセンターは冷却のために大量の水を消費します。誰のためにもならない「データのゴミ」のような動画も多いのが事実です。
一方で、テックエリートらは地球のリソースは有限だとしても、もはや関係ないようです。
マライ:それは地球以外の資源を取りに行こうとしているから?
町山:そうです。イーロン・マスクは火星移住を本気で語っています。データセンターも、将来的には宇宙に作ればいいといわれています。彼らには今の人類社会を維持するという考え方がないのでしょう。