偽アカウント作成のコストが最も低い3カ国
発表によれば、ケンブリッジ大学の研究チームは、世界中500以上のSNSや商用プラットフォーム(TikTok、Amazon、Spotify、Uberなど)について、「偽アカウント用のSMS認証をいくらで買えるか」を日次で追跡するウェブサイト「 COTSI(Cambridge Online Trust and Safety Index)」を立ち上げた。
COTSIは、SIMカードを大量に抱えた「SIMファーム」などが売っているSMS認証(つまり偽アカウントの元になる電話番号)の価格と「在庫数」を、国別・サービス別にリアルタイムで可視化する、初のグローバル指標として位置付けられている。このCOTSIが可視化した情報は、いくつかの興味深い事実を浮き彫りにしている。
まず、ボットや偽アカウントを作成するための「認証コスト」は国によって大きな差があるという点だ。
偽アカウント作成のコストが最も低い国として、ロシアや米国、英国などが挙げられている。たとえばロシアでは、偽のInstagramアカウント認証に必要なSMSコードがわずか8セント(約12円)、米国では26セント(約40円)、英国では10セント(約16円)で購入可能だ。
逆に日本やオーストラリアは、世界でも最もコストが高い国に分類されている。日本の平均価格は4.93ドル(約770円)、オーストラリアは3.24ドル(約510円)だ。
この価格差は、SIMカードの登録規制や身分証確認(ID要件)の厳しさに起因している。規制が緩い国ではSIMファームが安価に認証コードを供給できるため、これらが世界中のオンライン操作の温床となっているという。
またサービス間でもコストに差がある。Meta、Grindr、Shopify などは世界平均で1件あたり8セントと特に安く、XやInstagramは10セント、TikTok・LinkedInは11セント、Amazonは12セントと、主要サービスでも低価格で偽アカウントを買うことができる。
とりわけ、X、Uber、Discord、Amazon、Tinder、Steamなどは偽アカウントの「在庫」は多く、米英やブラジル、カナダ向けのアカウントが大量に販売されているという。
そしてCOTSIのデータは、選挙シーズンにおける影響工作の需要変動も捉えている。