最低2回、できれば4回の利上げが必要
2026年の円相場を金利面から展望した場合、まずは日銀が最低2回、望むらくは4回の利上げまで踏み込めるのかどうかが反転のための必要条件と見ることもできるだろうか。裏を返せば、諸外国からすれば、「通貨安に悩むのであれば最低限、それくらいの利上げはすべき」というのが率直な目線になるのではないかと思われる。
国際収支に現れるような需給面での変化は一朝一夕には起きないが、金利面での変化は中央銀行に裁量が委ねられている。目下、12月1日の植田日銀総裁による発言が0.75%への利上げ予告と受け止められており、その見通しはおおむね正しそうだ。ただ、問題はそれで打ち止め感が広がらず、連続的な利上げ期待につなげていけるかどうかである。
この点、植田総裁は中立金利推計を適宜修正し、公表する意思を示しており、これが「市場との対話」をけん制する上での妙手となる可能性もある。中立金利に関する議論は次回以降の寄稿で行いたいと思う。
※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、2025年12日8時点の分析です
2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中



