12年前に起こった、「尖閣国有化への猛抗議からのレーダー照射」の再現か
中国は周知のように、11月7日に高市早苗首相が行った「台湾有事と存立危機事態」に関する国会答弁に激昂。1カ月にわたって発言の撤回を求めている。これに対し日本側は、「高市政権の立場は、これまでの政権の立場と何ら変わるところはない」として、発言の撤回は不要としている。
こうしたことから、中国は全面的な「対日戦狼(せんろう)外交」(狼のように戦う外交)を展開している。それらは主に、外交・経済・文化・歴史・軍事の5分野で展開されている。
中でも、最も「重い仕打ち」が、領土保全や人命の危機に直結する軍事分野である。それがついに、今回起こったのだ。
2012年9月、当時の野田佳彦民主党政権が「尖閣国有化」を断行し、中国が猛反発して、中国全土で大規模な反日デモが巻き起こった。この時、私は北京で取材したが、日本食レストランのガラス窓が割られたり、日本車が燃やされたり、日系企業の工場からも火の手が上がった。
2012年9月、日本の尖閣諸島国有化に対する抗議が中国全土で巻き起こった。山東省青島市では日本の大型スーパーマーケットに抗議者が集結、店舗が破壊された(写真:Newscom/アフロ)
それから4カ月後の2013年1月、レーダー照射事件が起こった。1月19日午後5時頃、東シナ海において中国人民解放軍の江凱(ジアンカイ)I級フリゲート艦「温州」が、海上自衛隊第2護衛隊群第6護衛隊所属のたかなみ型護衛艦「おおなみ」搭載の哨戒ヘリコプター「SH-60」に向けて、火器管制レーダーを照射したものと推定された。