AIが8割、人間は2割が理想
第2に、業務棚卸しを徹底し、AIに任せる範囲を明確に定義しなければなりません。
営業資料作成、請求書処理、勤怠管理、顧客対応、SNS運用など、AIが先に入るべき領域は思ったより多いものです。
これを曖昧にすると、人間の仕事とAIの仕事が混在し、生産性の伸びが止まってしまいます。
逆に、業務の7割をAIが担当し、残り3割に人が集中できる仕組みが作れれば、会社全体の動きは劇的に変わります。
理想を言えば、AIが8割、人間が2割です。
AI導入後に営業資料作成の時間が7割削減され、営業担当者が顧客訪問に使える時間が一気に増えた企業もあります。
その結果、受注率が向上し、残業も減るという二重の成果を得ているのです。
第3に、AIを管理できる新しい管理職を育てることです。私はAIマネージャーと呼んでいます。
プログラミングができなくても構いません。必要なのは、AIに正確な指示を与え、成果物を評価し、改善案を出させ、チームの生産性を底上げする能力です。
これを担える人材が今後、企業価値の差を決めるでしょう。
アルトマン氏のコードレッドが示した潮目は明確です。
AIは経営の中核に入り込んだという事実を、どれだけ早く腹落ちさせられるかが勝負になります。
製造業でも物流業でも農業でも、もはやAIを避けて事業を続けることはできません。
自治体でさえAI窓口を設ける時代になってきました。AI導入はもはやIT投資ではなく、企業の骨組みそのものを組み替える経営プロジェクトです。
この意識に切り替えられない企業から、市場シェアが静かに溶け出して行きます。
私は経営者として長く現場を見てきましたが、今ほど変化と危機が同時に押し寄せている時代はありません。
ただし、悲観する必要はないとも思っています。AIは脅威であると同時に、日本企業にとってかつてない成長のチャンスです。
使いこなす側に回るかどうか。その小さな意識の違いが、会社の未来を決めてしまうのです。
今、経営者に問われているのはAIを導入するかどうかではありません。AIを戦力として迎え、新しい組織をどう築くのかという覚悟です。
コードレッドとは、その覚悟を迫る警鐘だったのだと、私は強く感じています。