週次や月次のレビューはもはや時代遅れ
日本企業はこれまで、採用や研修で人材を育て、部門に配置し、評価しながら戦力化してきました。
ところが今後は、人材市場を争奪するのと同じ熱量で、「どのAIを採用するか」ではなく「AIにどの業務を任せるか」を決めなければいけません。
AIが増えれば増えるほど、売り上げが上がり、固定費は下がり、組織構造は軽量化します。
ある意味、AIは無限にスケールする労働力を企業にもたらすのです。これが経営に与える衝撃は、予想以上に根深いものとなるでしょう。
アルトマン氏が危機感を示した背景には、AI競争が単なる技術勝負ではなく、市場そのものを塗り替える覇権争いに変わったことがあります。
検索も広告も、EC(電子商取引)も教育も、行政ですらAI中心に再編され始めているのです。
特に注目すべきは、AIの導入によって「意思決定の速度」が一変する点ではないでしょうか。
従来のように週次や月次でレビューするという感覚が、もう時代遅れになりつつあるのです。
AIは秒単位で数値を解析し、リスクの芽を摘み、改善案を提示します。
経営者が迷っている間にも、AIは次のアクションを示しているのです。この速度の差が、今後の競争力を大きく左右するでしょう。
情報収集も同じです。
市場調査を丸ごとAIに任せる大手メーカーの話を聞いた時、私は驚きよりも納得感が強かったのを覚えています。
担当者はこう言っていました。「AIに調べさせると、一晩で200ページの競合分析が上がってくるんです」と。
昔ならコンサルティング会社に依頼して数百万円の費用と数週間の時間を投じていた作業が、AIと人間のペアで一瞬にして完成する時代が来てしまったのです。
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