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 経済産業省が所管する情報処理推進機構(IPA)が2025年6月に公表した報告書 「DX動向2025」によると、生成AIについて前向きな取り組みをしている企業の割合は日本国内で5割弱にとどまっており、他国より低水準だという。そうした状況に対し「DXとAIは切り離せない関係にある」として生成AI活用レベルの向上を訴えるのは、2025年7月に著書『次世代DXの設計図 生成AIで切り拓く経営革新』を出版した、グランバレイ ERP/BIコンサルタントの鍜治川修氏だ。生成AIの活用を企業の競争力につなげるためにはどのようなアプローチが必要なのか、同氏に話を聞いた。

「AIレディ」な組織をつくるためのデータ戦略とは

──著書では、生成AIを活用したDXを阻む要因として「アナログの壁」と「暗黙知のブラックボックス化」があると述べていますが、企業にはどのような取り組みが必要となるのでしょうか。

鍜治川修氏(以下敬称略) 生成AIという強力なエンジンを活用するためには、まず、生成AIがいつでも動ける状態、いわゆる「AI-Ready(AIレディ)」な組織へと変革していくことが必要です。

 現在の生成AIの能力では、人の業務を完全に代替できるレベルには達していません。ただし、これは時間とともに解決される見込みがあり、今後数年のうちに人と同等レベルへと進化すると予測されています。

 その進化に備えて、企業は予め生成AIが業務を代替できるよう、準備を進めておくことが重要です。

 具体的には、まず手作業で行われている業務プロセスをシステム化し、あらゆる業務活動を記録可能な「デジタルデータ」へと変換することから始めます。これはペーパーレス化の推進とも言い換えられます。

 例えば、紙による稟議や書類の回覧で承認を得ている業務にはワークフローシステムを導入し、FAXによる顧客との受発注にはEDIシステムを、紙で行っていた請求業務にはPDFによるメール請求へと移行する、といった対応が求められます。

 また、社内にネットワークと分断されたままのレガシーシステムが残っている場合には、それらも刷新していく必要があります。最近の業務アプリケーションはクラウドサービスとして提供されるものが主流となっており、多くのベンダーが生成AIの組み込みを計画しています。そうした最新のサービスを取り入れていくことも、有効な選択肢の一つです。