出所:共同通信イメージズ
PBR、CHRO、ウェルビーイング――日本企業が「米国由来の経営用語」を取り入れる流れは2026年も続きそうだ。しかし、そうした経営用語は組織への根本的な定着には至らず、バズワードに終わるケースも少なくない。次々と移ろいゆく経営トレンドについて、「米国発のカタカナ言葉を安易に流用して思考停止しないためにも、衰退の道を歩む米国の伝統企業の現状に目を向けるべき」と警鐘を鳴らすのは、コーン・フェリー・ジャパンの綱島邦夫氏だ。2025年9月に著書『何が日本の経営者を迷走させたのか 米国流への誤解・錯覚・無理解を斬る』(日経BP 日本経済新聞出版)を出版した同氏に、米国発の経営用語に対して多くの人が抱いている誤解、米国の伝統企業が直面する深刻な状況について聞いた。
日本企業は「本来の強みを生かすべき」
──著書『何が日本の経営者を迷走させたのか』では、日本に広く浸透している「米国流の経営」について警鐘を鳴らしています。なぜ今回、こうしたテーマを選んだのでしょうか。
綱島邦夫氏(以下敬称略) 私はこれまで日本や米国、欧州、中国、韓国の大規模企業のコンサルタントとしてキャリアを歩んできました。また、日本企業と米国企業の両方で勤務した経験もあります。現在もコンサルタントの仕事をしていますが、一貫して「企業をどう成長させるか」というテーマに向き合い続けています。ところが今、多くの日本企業は30年から40年の間、成長していません。私はその現実に強い危機感を抱いています。
そんなとき、出版社の編集担当者と食事をしていて「最近はやけにカタカナ言葉が多い」という話題になりました。想像以上に話が盛り上がったので、そのテーマで軽いエッセイでもと思って書き始めたところ、止まらなくなってしまいました。そして「なぜ、日本人はこれほどカタカナ語を好むのか」と掘り下げて考えるうちに、日本企業が長年成長できない根本理由が見えてきたのです。その解決策をまとめた一冊が本書になります。
2015年、東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コードを発表しました。そこでは「企業の目的は成長である」と明確にうたっていたはずなのに、その後、幾度となく改定を重ねる中で、企業の目的が「株価を上げること」へと移っていってしまいました。
それ以降、日本企業はますます迷走しているように見えます。日本企業の経営者は社員に対して個性の発揮を求めますが、その一方、コーポレートガバナンスや人的資本経営、SDGs、サステナビリティといった官製の指針に従い、短期志向のプロ投資家が求めるROEやPBRなどの財務指標を受け入れています。
そろそろ日本企業が本来持っていた強みを生かし、自信を取り戻すべきではないか、というのが私の主張です。







