崇高な役目を担った「生贄」
「CREVIAマチュピチュ展」展示風景。左から、「トゥミ(生贄の儀礼の刀)」「双頭のヘビ」「捕虜となった戦士」すべて西暦100-800年、ラルコ博物館、リマ(ペルー) © MUSEO LARCO LIMA - PERU
「犠牲の儀式」をテーマにしたコーナーも興味深い。アンデスの戦士たちは神殿やその周辺で行われる儀礼的戦闘に参加。先に相手の兜を奪うか、髪をつかんだ者が勝ちとなり、敗者は神殿に連れて行かれて生贄となった。儀式の目的は神々の怒りと予測不能な自然の力を鎮めること。そのためアンデスの人々は生贄の血を神に供物として捧げたのだ。
現代社会の目で見れば、残酷な歴史と感じてしまう。だが、当時のアンデスではアイ・アパエックの神話と同様に、生命は死によってのみ再生できると考えられていた。人の命を捧げることは共同体において最も崇高な行為で、自然の循環の復活と共同体全体の生命を保証するために欠かせないものであった。神官や巫女によって生贄が捧げられた後には、音楽と踊り、飲酒を伴う盛大な祝祭が開かれたという。
今なお多くの謎を秘めた天空都市マチュピチュと、南米ペルーを中心に栄えた古代アンデス文明。その神秘的な世界は恐ろしくもあるが、同時に何とも言い難い魅力を放っている。
「CREVIA マチュピチュ展」
会期:開催中~2026年3月1日(日)
会場:森アーツセンターギャラリー
開館時間:10:00~19:00(金曜日・土曜日・祝前日は〜20:00) ※入館は閉館の1時間前まで
休館日:会期中無休
お問い合わせ:050-5541-8600(
https://machupicchuneon.jp/



