2026年は米国中間選挙や電力需要の深刻化を注視
——予見できない状況が続くなか、日本企業はどう対応していけばいいのでしょうか。
羽生田:次に何が起きるかは誰も読めませんが、打ち手の予見可能性は確保すべきだと思います。
たとえ原因は米中対立や紛争、規制強化などさまざまあっても、企業が迫られる打ち手は何種類かに分けられます。打ち手を講じるべき課題とは、これまで買っていた材料が買えなくなったり、顧客が突然離れたり、データが集約できなくなったり、ルールがバラバラで複数の対応が必要になったり、従業員が危険に晒されたり…と、分類が可能です。「これはどのパターンの打ち手で対応する事態なのか」を素早く分類できれば、予見可能性を確保できます。
トランプ米大統領(写真:AP/アフロ)
「VUCA(変動性=Volatility、不確実性=Uncertainty、複雑性=Complexity、曖昧性=Ambiguity)」の時代と呼ばれてしばらく時間が経ちましたが、必要な打ち手を考えていこうと頭の切り替えができ始めたのが2025年後半からと感じています。
国際情勢は混乱していますが、企業は「お化け屋敷」に慣れたような状態になっています。最初は驚いていたものも、もう驚かなくなってきました。暗闇にも目が慣れ、出口を探す腹の括り方ができてきた段階です。
——来年2026年、企業が意識すべきポイントは何でしょうか。
羽生田:2026年を語る上で避けて通れないのが米国の中間選挙です。中間選挙は現政権が支持率を落とすのが通例ですが、その過程でトランプ政権は支持層へのアピールとして新しい施策を打ち出してくるでしょう。関税の見直しや消費者支援策など、従来言っていたことと逆の動きも起こるでしょう。
また、2026年は各国でこれまでの脱炭素政策に対する見直しがさらに増える可能性もあります。地球環境のために気候変動対策は必要ですが、AIにより世界全体で電力需要が激増し、エネルギーが足りなくなって、脱炭素どころではないと明言する政府も増えるかもしれません。
経営者はSNSの一言や突発ニュースに振り回されない「大局観」をもって、2026年に向かう必要があると思います。