レアアース封鎖の現実味、短期的な代替は困難

——レアアースを巡って、日本にできることはあるのでしょうか。

羽生田:レアアースは電気自動車のモーターだけではなく、ガソリン車でもパワーステアリングやバッテリーなど非常に幅広く使われています。供給が滞ると生産に直結し、生産を止めざるを得なくなった例もあり中長期的な影響を見据えた対応が重要になります。

「テルビウム」や「ジスプロシウム」のように、中国に偏在しているものを他地域から代替調達することは難しいですが、レアアースフリーの技術開発をはじめ、精錬技術の向上やコスト差を補助で埋める政策などが必要です。

 特に自動車業界などは「ジャストインタイム」で在庫を極限まで減らしているため、少し供給が止まるとすぐにショートします。今は「ジャストインタイム」より「ジャストインケース」で多少余裕を持つサプライチェーンに移行するのがトレンドになっています。

高市首相(左)と中国・習近平国家主席(右)(写真:新華社/アフロ)

——日本企業の業績も悪くない今、サプライチェーンの再構築をするチャンスの時でしょうか。

羽生田:その通りです。中国依存のリスク、高市政権による経済安全保障重視、トランプ大統領の危険な発言など揺れ動く国際情勢の中、いまほど変革の説明がつきやすい時はありません。株主にも納得してもらいやすい局面です。

 今ここで踏み出せなければ、もう二度とできないでしょう。自動車企業含めて日本のグローバル企業には、ぜひ大きな号令を出していただきたいと思います。

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