米欧からの強い圧力
この方針転換は、内外からの強い圧力の結果といえる。
AI法を巡っては、メタなど米国のビッグテックだけでなく、欧州の主要企業からも「過度な規制が欧州の競争力を削ぎ、イノベーションを窒息させる」との懸念が噴出していた。
実際、欧州の有力な業界団体が2年間の施行停止を求めるなど、産業界の反発は強かった。
加えて、今年1月に発足したトランプ米政権の存在も大きい。トランプ政権は、EUの一連のデジタル規制を「米企業を不当に差別するもの」と公然と批判し、報復関税も辞さない構えを見せてきた。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などによれば、EU当局者も今回の簡素化プロセスの一環で米政権とAI法の調整について協議してきたことを認めており、大西洋間の通商摩擦激化を避けたいとの政治的判断が働いた側面もある。