「直火焼き×巨大ワッパーדゲリラ戦”」マーケの相乗効果

 もう1つが“ゲリラ戦”とも言うべき販促だ。アメリカでの店舗数比較で言えば、マクドナルド2に対しバーガーキング1だが、日本では現状でも10対1と、まさにケタ違いの差がある。

 その差を逆手に取り、野村氏はあえて“巨人”マクドナルドを標的にした比較広告やSNS展開を試みてきた。そのゲリラ性が「面白い」と消費者の関心を呼び、結果としてバーガーキングの認知度を高めることにつながった。

 とはいえ、それらの施策やマーケティングも、肝心の商品力がなければ長続きしない。バーガーキングの商品特徴は大きく2つある。1つは、ほかのハンバーガーチェーンの大半のパティが鉄板焼きであるのに対し、直火焼きで余分な油を落とし、スモーキーな味わいにしていることだ。

「バーガーキングにお越しいただくお客さまには、『たまにはガッツリと、それも本当においしいハンバーガーを食べたい』と思う方に向けて“直球勝負”をしているのです。ですから、われわれも毎日ご来店いただきたいとは思っていません。

 高価格帯のグルメバーガー店の中には直火焼きで出しているところもあります。ただし、小規模で店舗数が少なければ直火焼きも可能ですが、大手のハンバーガーチェーンでは、パティの成形もオペレーションもすべて変えなければいけませんから、簡単に直火焼きの真似はできないのです」(野村氏)

 もう1つが、バーガーキングの代名詞にもなっている「ワッパー」だ。ワッパーとは「並外れた大きさ」の意で、実際にバーガーキングのワッパーは他社の通常商品の1.5倍近い大きさがある。その分価格もやや高めで、カロリーなどを気にする人には向かず、「がっつり食べたい人向け」というイメージが強かった。

 味についての評価は、以前から「マクドナルドよりモスバーガーやバーガーキングの方が好きだ」という消費者も多い。そこへ物価高騰もあってマクドナルドが何度も値上げをした結果、ワッパーとマクドナルドの主力商品の価格差は以前ほど大きくなくなってきている。

 加えてバーガーキングでは、キャンペーン時にスマホアプリでクーポンを取得すると、売れ筋のワッパーチーズセットが990円(税込)から300円引きの690円(同)になるなど、他社に比べてもお得感の強い価格設定を打ち出し、購入者数の底上げにつながった。

バーガーキングの人気商品「ワッパー」シリーズ(写真:Henry Saint John/Shutterstock.com)