各対策に漂う「やってる感」
まず空室税だが、住民票登録がなく、居住実態もない住戸について課税するというものだが、住民票の有無はともかく、空室であることの証明をどのようにするのかが不透明だ。
自治体の職員が検視することは不可能だろうし、電気やガスメーターをチェックしたところで、長期海外出張などで不在にする世帯もあるだろう。売却期間中の住戸にも課税するのだろうか。疑問は尽きない。
転売規制にしても、実態を伴わず「やってる感」を示しているとしか思えない。三井不動産レジデンシャルの規制でも、中古サイトに掲載したところをいくら糾弾しても、「物件引き渡しまでに期間が長いので、今どの程度の相場なのかチェックしていただけで売る気はなかった」などと言い訳されると反論できないだろう。
つまり販売活動を本気で行っているのを立証することは意外と難しいのだ。
住友不動産の措置に至っては分譲住戸のすべてについて5年間どのように監視していくのか不明確だし、実効性はほぼないといえる。
またデベロッパーの多くは、タワマン住戸の一部をまとめて中堅以下のマンションデベロッパーに卸売りしている。自社ではタワマンを分譲する財力も販売力も足りない業者は、まとめ買いした住戸を自らの顧客に転売しているし、外国人客がさらにどこに転売しているかなど実際には追いかけようがないのではないだろうか。
こうしてみると、どうも各種対応策は第三者がチェックするのではない、実態を伴わない、「やってる感」を出しているだけのものにもみえる。
相続節税についても、不動産評価額を時価に近い金額に評価する手法はなかなか難しいはずだ。最近の不動産価格(時価)は投資マネーのいたずらで以前よりも変動幅が大きいからだ。