ナチス嫌悪とナチスマニアの矛盾

神島大輔氏(以下、敬称略):ロシアのナチス嫌いは裏を返すとナチスへの憧れとも紙一重なのではないでしょうか。

 以前、ロシアでは、ドイツのショルツ前首相はナチス武装親衛隊(SS)の将軍フリッツ・ショルツの子孫だというデマまで流していました。ドイツ政府もすぐに公式に否定していますが、本気でそんなデマを思いつくこと自体、相当なナチス・マニアではないかと思います。

小泉:例えば、ロシアの民間軍事会社ワグネルもそうでしょう。ワグネルを実質的に組織した元ロシア軍人のドミトリー・ウトキンも完全にナチス・マニアだったと言われています。

「ネオナチと戦う」と称してウクライナに侵攻したものの、実際にはナチスなどおらず、その失望からロシア政府を批判するビデオを出し、最終的に墜落事故で命を落としました。

マライ:ウクライナ側は「ネオナチ」と呼ばれることを問題視していないのでしょうか。

小泉:難しいのは、ウクライナもロシアの主張に真っ向から反論できない側面もあることです。例えば、ウクライナ民族主義指導者ステパン・バンデラは、ソ連やポーランドと戦った英雄として国内では独立運動の英雄だと評価される一方、ポーランドから見ると大量虐殺を行った人物です。こうした歴史認識の複雑さをウクライナが抱えているのも事実です。

YouTubeの公式チャンネル「INNOCHAN」で全編を公開しています。チャンネル登録もお願いします。