AIとしての基礎体力が向上

 インスタントは、とにかく速く、軽く返す。対してシンキングは、深い推論を許容し、複雑な問題の分析にじっくり取り組む。

 従来のAIは、どちらのケースでも同じ態度で応じようとしたため、結果として中途半端になることがありました。

 経営層の皆さんなら分かると思いますが、意思決定の場面では「即断したいこと」と「熟考すべきこと」が明確に分かれています。

 それをAIがようやく理解し始めたという意味で、これは非常に大きな前進です。

 もう一つ、GPT5.1の重要な改善として、指示遵守性と安定性の向上があります。

 例えば文字数、段落数、トーン、順序。

 こうした細かな指示は、実務では極めて重要です。特に広報や法務では、一つの数字のズレがリスクに転化することも珍しくありません。

 GPT5ではこの部分でわずかなぶれが見られましたが、GPT5.1ではその誤差がかなり減りました。

 もちろん医療や法律の判断となると専門家のチェックが欠かせませんが、AIとしての基礎体力が上がったことは疑いがありません。

 私は企業のセミナーでよく「AIは部下ではなく、熟練者の道具です」と話していますが、GPT5.1はまさに扱いやすい道具へと近づいたモデルでした。