介護費・医療費を削減するためにもAIの活用は待ったなしだ(Rosy / Bad Homburg / GermanyによるPixabayからの画像)
長寿社会に不可欠な存在になったAI
日本ほど「寿命」というテーマに敏感な国はなかなかありません。
平均寿命は世界トップクラス。これまで世界最速で高齢化が進んできました。 医療も介護も、地域コミュニティも、すべてが長寿社会を前提に動き始めています。
その中で、2025年のいま、AIが静かに寿命の概念そのものを書き換えつつあるのです。
寿命はもはや医療技術と生活習慣の問題だけではなく、「データとアルゴリズム」の問題になり始めています。この変化は、私にとっても、正直かなり衝撃的です。
私が最初にAIと寿命について強く意識したのは、友人である大阪の医師の話でした。
AI診断支援システムを導入したところ、医師による病変の見逃しリスクが劇的に減ったというのです。
その背景には、画像診断AIがわずかな影や異変を読み取る能力において、人間を補完し始めている事実があります。
肺がんの早期発見率が向上し、治療可能な段階で患者が適切な処置を受けられるケースが増えたというのです。
これを聞いて私は、寿命が個人の努力だけでなく、社会の「AI実装度」に左右される時代が来たのだと実感しました。実際、医療の現場ではAIが驚くほど活躍しています。
例えば、私のオフィスのそばにある富士フイルムなどが開発した画像診断支援AIは多くの医療機関に導入され、内視鏡検査における微細な病変や、X線画像での異常陰影を医師に提示する「ダブルチェック」の役割を果たしているのです。
また、自治体によっては住民健診のデータ解析にAIを導入し、糖尿病や肝疾患のハイリスク者を抽出して早期介入する「データヘルス」の取り組みも進んでいます。