S-300/400購入の中国・北朝鮮への影響

 ミリタリーバランス2025によると、これらの防空兵器を最も多く導入しているのが中国空軍である。

 S-300が約350基、S-400が約32基だ。

 北朝鮮空軍は、ほとんどが使い物にならない「SA-2/3/5」を保有しているのだが、近年、S-300/400(北朝鮮名「ポンゲ5」)を実験している。

 ウクライナ戦争では、ロシアのS-300/400が米欧の巡航ミサイル攻撃を全く防ぐことができていない。

 特に、ミサイルが低空飛行になれば、ほぼ100%防げていない。

 時速700キロ以下の巡航ミサイルを防げないのであれば、米欧の時速1000キロのミサイルは、当然防ぐことができない。

 イランはS-300を保有しているが、今年6月のイスラエルと米国による空対地ミサイル攻撃を全く防ぐことはできなかった。

 ということは、中国や北朝鮮は、有事で米軍が北京や平壌に巡航ミサイルを撃ち込むことになれば、その空を守ることはできないことになる。

 米国が台湾に巡航ミサイルを大量に供与すれば、中国はそれを防ぐことはできない。

 そして、日本の巡航ミサイルも北京の防空を容易に突き破ることができることになる。

 中国はミサイルや空母で近隣諸国に脅しをかけているが、ウクライナ戦争を見る限り、自国の空を守れないことは明白である。