ノボロシスク近郊の防空基地への攻撃と破壊
ウクライナは、長距離ドローン攻撃とウクライナが開発した巡航ミサイル「ネプチューン」で、11月14日早朝にノボロシスクのS-400防空兵器大隊の基地を攻撃した。
そしてこの時、4基のS-400発射機と2つのレーダーシステム、早期警戒レーダー「チーズボード96N6」と、目標捕捉レーダー「グレイブストーン92N6」を破壊した。
写真2 破壊された翌日(15日)のミサイル基地の衛星写真
出典:ウクライナ参謀部
ウクライナのメディア、キエフポストはこの作戦で「ロシアの防空に穴を開けた」と表現した。
しかし、私は穴を開けたどころではないと見ている。
クリミアなどに配備されていたS-300/400防空兵器が破壊され、ロシア領土内の石油施設や軍事工場が破壊されたのは、首都モスクワを除きロシアの防空施設がすでにほぼ崩壊状態だったからだろう。
この基地は、ノボロシスク港の西に配備されており、ノボロシスク港やその南のトアプセ港へのミサイル等の攻撃を途中で阻止するためのものであった。
この基地をグーグルアース地図でみると、8基のミサイルが2つの赤い○の部分に見える。この写真の南側にも4基の発射基が配置してある。
発射装置が合計12基と各種レーダーが配備されている。また、各種レーダーも見える。この数だと1個S-400防空大隊(1個中隊4個発射基×3個中隊)である。
基地は森林に囲まれ、発射基や建物などがミサイル着弾時に、破片が飛来して破壊されるのを防ぐための土手がある。
完全にミサイル基地の様相である。米欧日の防空ミサイル基地も同様の構造になっている。
写真3 ノボロシスク西のS-400防空ミサイル基地
出典:グーグルアース2024年10月19日
この基地内には、低空用のレーダーが2基配置されている。ミサイルの低空からの攻撃にも備えていた。
S-400防空兵器は広範囲の航空機やミサイル等を破壊するためのものであるため、近傍に短距離用の防空兵器が配置されていたはずである。
おそらく、完璧な防空組織であったと思われる。
しかし、なぜかこの防空基地が守るはずのノボシビルスクやトアプセが攻撃され、破壊されてしまっていた。そして、これらの要域のすぐ直後にこの防空基地自体が破壊されたのだ。
つまり、この基地は攻撃以前から防空の機能を果たしていなかったのである。