ロシアがミサイル攻撃を防げなかった理由
この3つの港と防空基地への攻撃事例は、敵の防空を突き抜けてミサイル等攻撃に完璧に成功した例である。
ロシアとしては、約600キロ離れた2つの港が破壊され、さらにそれらを守る最先端の技術を有するS-400防空ミサイル基地までも破壊されたことは、完全に予測不能であったことだろう。
ではなぜ、防空に失敗し、防空兵器そのものが破壊されたのだろうか。
考えられる理由は以下のとおりだ。
① S-400防空兵器には、ロシアが発表しているほどの能力がなかった。
②長距離防空(都市と要域防空)と短距離防空(戦場と基地防空)が組織的に機能していなかった。
③長期間防空戦闘を実施してきたために、発射基はあっても、ミサイルそのものが枯渇していた。
④防空部隊が昼夜24時間、戦闘態勢ではなかった。防空部隊兵の士気が落ちていて、通常の勤務ができていなかった。
これらのうち、どの可能性が最も高いのか。
それは、これまでクリミアやロシア領内の防空兵器がことごとく破壊されてきたこと、長距離防空兵器を守る短距離防空兵器の射撃映像を見ても、確実に命中している実績がないことから、①②の可能性が高い。
3年間というウクライナ戦争を考えれば、③④のことも併せて考えた方がよいかもしれない。