米ミサイル駆逐艦「グレイブリー」から発射されたトマホークミサイル(2024年1月12日、米海軍のサイトより)
2022年9月から現在まで、ウクライナ参謀部や空軍司令部が公表したロシアのウクライナに対するミサイル攻撃の数は、約8600発である。
それ以前の2022年2月から2022年8月までの数は公表されていないので、2022年の9~12月間の数字から推測すれば、6か月間でおそらく1800発ほど撃ち込んでいると考えられる。
つまり、ロシアは侵攻開始から約1万発以上のミサイルをウクライナに撃ち込んでいるのだ。
とはいえ、今年になってその数量は減少している。また、その種類にも変化が見られる。
ミサイル攻撃数や種類の変化について、その実態と理由について考察する。このことで、ロシアがいかに苦境に陥っているのか、また、北朝鮮にどの程度依存しているのかが分かる。
ロシアの今の苦悩が分かれば、これまで1万発を超えるミサイルを撃ち込まれているウクライナに、欧米日は何を支援すべきなのか分かる。
そこから、ロシア国内にミサイル攻撃を行い、ロシアが戦争を継続できなくなるように、改めて米欧がウクライナに何を供与すべきであるかを提言したい。
1.ロシアミサイル攻撃機数の減少
ロシアのミサイル発射(月毎)については、グラフ1のとおりである。
その発射数を、年間発射数とその月平均発射数に整理した。
2022年公表データは2022年9月からなので、侵攻開始から8月までについては9~12月の平均値を使い、年間の発射数を推測した。
グラフ1 ロシアのミサイル発射機数の推移(月毎)
2022年では、9月以降、月平均約285発、年間(推測値)3400発
2023年では、月平均約250発、年間約3000発
2024年では、月平均約260発、年間約3100発
2025年では、9月まで月平均150発、年間(推測値)1800発
2025年の発射数は、このペースで予測し算定した。
2023年と2024年と比べると、月間ではおおむね100~110発少なく、年間では1200~1300発少なく、約40%減少している。
