米陸軍の30ミリ機関砲を備えた短距離防空用車両「M1265A1 Stryker Alpha Battery」(2024年10月2日撮影、米陸軍のサイトより)
1.防空兵器が破壊され続けているロシア
戦争においては、防空兵器が残存するか消滅するかで、その行方が左右される。
それをよく知っているロシアは、ウクライナ侵攻と同時に、しかも真夜中に、ウクライナの防空兵器を破壊する奇襲的航空攻撃を行った。
しかし、ウクライナはその攻撃を事前に知っていて、動かせる防空兵器を基地から移転させ、破壊を免れた。
この破壊を免れた防空兵器によって、ロシア空軍の戦闘機等は侵攻当初の2か月間で約180機が破壊された。相当な痛手であったはずだ。
今では、グラフ1にあるように、侵攻当初はロシアが考えていた防空兵器の破壊をウクライナが行っている。
ロシアの防空兵器がウクライナに破壊され続けているのである。
2025年4月以降、ロシアの防空兵器の損失が急激に減少しているのは、ロシアの防空兵器が攻撃を免れているのではなく、その在庫数(配備数)が減少しているからだと考えられる。
グラフ1 ロシア防空兵器損失の推移
防空兵器の配備数が減少した結果、ウクライナはロシア国土内の石油関連施設、軍事工場を自爆型無人機で攻撃ができている。
特に今年の8月に集中している。
ウクライナが使用する自爆型無人機は巡航ミサイルとは異なり、「セスナ」機のような軽飛行機に似て大型で低速であり、防空兵器で最も撃墜しやすい目標である。
だが、ロシアは撃墜できず、多くを撃ち漏らしていて、ウクライナの攻撃はほとんど成功している。
